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DHRCについて

センター長あいさつ
人材募集

センター長あいさつ

画像:デジタルヒューマン工学研究センター センター長 持丸 正明
デジタルヒューマン工学研究センター
センター長 持丸 正明

目標

個人にとって付加価値の高い製品・サービスの提供を通じて、健康で安全で持続可能な社会を構成するという、個人益と社会益が共生する生活環境デザインが求められています。 本研究センターでは、個人の身体機能を観測し、コンピュータ上に再現するだけでなく、個人が製品・サービスの提供を受けて起こす行動や、それによる生活の変化を観測し、コンピュータ上に再現する技術--「デジタルヒューマン工学」の研究を進めます。 この技術に基づく応用駆動型の研究により、個人の健康と安全を基盤に快適生活を支援する製品・サービスのデザイン、個人に社会益を理解した行動を促すコミュニケーションのデザインを実現していきます。

本研究センターは、人間とその生活を、機能的、生成的にモデル化する技術を、できるだけ汎用的なモジュールとして確立することで、個人益と社会益が共生する生活環境デザインを支援することをミッションとします。 社会的に有用なシナリオに駆動されて必要な技術開発や技術の統合を進めるアプローチで研究を進めます。 具体的シナリオとして、(1)身体機能に適合し生活を変えうる製品デザイン、(2)健康を維持し生活機能を高める健康増進技術、(3)事故を予防し生活機能をまもる生活・社会デザイン、(4)人間と環境を理解し生活機能を支えるスマートアシスト技術を掲げています。

mission

デジタルヒューマン工学研究センター設立経緯

デジタルヒューマン工学研究センターの前身となる、デジタルヒューマン研究ラボは平成13年4月1日に、金出武雄ラボ長の提唱に基づいて発足しました。 平成15年には研究センターとなり、人間機能(生理解剖、運動機械、心理認知)を観測、モデル化、提示する技術を確立し、それらを製品デザインに活用する研究を進めてきました。 研究センターが提唱した「デジタルヒューマン」という考え方は、学術分野・産業分野に定着し、一定の研究成果を収めました。 ここで実現したデジタルヒューマン技術は、個人の身体機能をモデル化し、それに基づいて製品・サービスの設計を支援するもので、個人ユーザの欲求を満足させるための技術でした。 これらの研究を通じ、子どもに安全な製品が大人に少し使いにいために普及しなかったり、健康への取り組みがなかなか持続できず社会の医療負担が低減できないなど、個人の欲求と社会全体の価値が相反するケースにも直面するようになりました。 このような問題に取り組むには、単に、個人の身体機能をモデル化して、身体と製品とで最適設計をするだけでなく、製品やサービスの提供を受けたときの行動や生活をもモデル化し、より広い視点で人間生活と製品・サービスを最適設計する必要があると考えました。 学術的なデジタルヒューマン研究では、身体をより精密に、臓器、細胞、遺伝子レベルまで掘り下げてモデル化していく方向が主流ですが、われわれはあえて逆向きに、身体を基盤として行動、生活、社会をモデル化していく研究に進んでいくこととしました。

development

デジタルヒューマンの3つの軸

前身となるデジタルヒューマン研究センターでは、人間機能を生理解剖、運動機械、心理認知の3つの機能軸として考え、それぞれの機能および複数の機能軸を統合したモデルを開発してきました。 新たに発足したデジタルヒューマン工学研究センターでは、この生理解剖・運動機械機能を「身体」という軸に取り、心理認知と運動機械機能によって起きる「行動」と、それらと環境によって構成される「生活」の3つの軸で、人間機能のモデル化を進めていきます。 いままでが「感じて動く生身の人間のモデル」であったとすれば、これからは「身体性に基づいて環境の中で行動する生活者のモデル」ということになります。 これこそ「ヒューマン」であり、その機能モデルを構成することこそ「デジタルヒューマン」であると考えています。 「身体・行動・生活」の3つの軸は当然のことながら独立ではありません。 「デジタルヒューマン」はこれら3つの軸を統合することにより達成されます。 センターで推進する研究は、この3つの軸の上にマッピングできます。 赤い色の「Digital Human Models」レイヤーが、われわれが開発する基盤技術で、それを役立てるのがオレンジ色の「Applications」レイヤーです。 「Digital Human Models」に基づいて身の回りの製品、サービス、社会をデザインする方法論を確立し、普及させていくことがわれわれの目標です。 本センターでは、身体モデルやロボット技術、傷害予防工学に関する高い競争力を生かし、「身体機能中心デザイン」「健康増進」「サービスデザイン」「ロボット技術によるアシスト」「傷害予防」「エラー防止」などの具体的な応用に駆動された研究を進めていきます。

research map

デジタルヒューマンの研究方法論

人間の身体・行動・生活を観測して記述することで、デジタルヒューマンモデルを開発し、それに基づいて製品・サービス・社会を設計、制御していく、それによって、個人益と社会益が共生する生活環境デザインを支援するというのが基本的なアプローチです。 本センターの研究方法論としての特徴は、研究を通じて「人間生活機能データバンク」を拡充していくところにあります。 どういう身体性の人がどういう環境下でどういう行動をとりどのように生活を構成したか、という情報を、研究を通じて蓄積していきます。 これらのデータバンクから、「Digital Human Models」を構成し、それらが製品やサービスのデザインに活用されたり、あるいは、製品やサービスに組み込まれたりして、人間を適切にサポートするシステムとなります。 このようなシステムが実社会で動くことで、生活者と合意形成しながら大規模な個人発情報を「人間生活機能データバンク」として蓄積するサイクルが廻ります。 実験室の科学が製品やサービスを生み出すだけでなく、製品やサービスを通じて蓄積された大規模データが、新しい科学のタネとなるというサイクルです。

research model

5つの研究チーム

本研究センターは、情報工学、ロボット工学、バイオメカニクス、人間工学、形質人類学、社会心理学、医学など多様な専門家が集結する分野融合型の研究センターです。 また、人間と生活が関わる幅広い産業(アパレル、スポーツ、日用品、電機、自動車、住宅、建設、小売、情報サービスなど)と共同研究を実施しているという特徴を持ちます。 この2つの特徴を活かし、社会的に有用なシナリオに駆動されて、デジタルヒューマン技術を、できるだけ汎用的なモジュールとして確立するように研究を進めます。 この研究の推進のために、5つの研究チームを発足します。

(1)身体機能中心デザイン研究チーム

個人の身体機能に適合するけでなく、他人にも適合するデザインを推進するために、多様なユーザの個人差をモデル化する技術、個人差に対応するデザイン支援技術、ユーザに他人を体感し理解させるためのコミュニケーション技術の研究を進めます。

(2)生活・社会機能デザイン研究チーム

子どもや高齢者の安全な生活を実現するために、製品・サービスのデザインを通じて生活機能を制御する技術を研究します。 生活機能を損なう障壁を取り除くために、生活機能の観測技術、モデル化技術、生活と傷害のデータベースの構築、傷害予防工学の研究を進めます。

(3)健康増進技術研究チーム

国民が健康になることは社会益ですが、個人の健康への取り組みはなかなか続きません。 ITによって個人の特性や状況に応じた介入を行うことで、健康増進の取り組みを続けさせる技術の研究、および、このベースとなる個人の健康特性データの蓄積、健康を増進させる製品・サービスの研究を進めます。

(4)スマートアシスト技術研究チーム

なんでも機械がサポートしてしまうことは、長期的には個人の能力を減退させ、社会損失に繋がります。 そこで、個人が希望する生活機能のうち、個人の能力に不足する部分を機械が知り、それを的確にサポートする技術を研究します。

(5)傷害予防工学研究チーム

日常生活で発生する事故による子どもの重篤な傷害を予防するために、医療機関を核にして子どもの事故データを収集する事故サーベイランス技術、収集されたデータを解析し事故予防策を開発する事故・傷害シミュレーション技術、その予防策を社会に普及させるリスクコミュニケーション技術を研究します。 これらの技術を通じ、事故データが安全知識となって、子どもを安全に育成するものづくり--「キッズデザイン」に活用される社会創成を目指します。