Top > 活動状況 > ワークショップ > デジタルヒューマン・ワークショップ2007

Activity

デジタルヒューマン・ワークショップ2007

今年のメイントピックはデジタルヒューマン技術の中でも関心の高まっている「日常生活のコンピューティング」です。

人間の日常生活を支援することは情報技術の工学として必須の重要な課題であり、福祉技術や生活関連製品開発やビジネスに直結する基盤研究であるにも関わらず、従来の研究では個別の要素技術の深化を目指すあまりに人間の日常生活自体を工学研究として真正面にとらえる機会に恵まれませんでした。 しかし、最近のセンサ技術やインタネット技術の発達により、人間の実生活中の行動のデータを観測・集積することが現実的となり、また統計的学習理論・機械学習・データマイニング技術の進展により、集積されたデータを分析・モデル化することが、新しい対象課題として野心的な試みとなりつつあります。 しかし、人間の日常生活行動に関する工学技術の研究のスコープはあまりに広いためこの課題に集中して取り組むための共通のフィールドが見あたらないという現実、さらにはコスト、人的制約から、小規模に個別に取り組んでいては、集積したデータの共通性が得られず、各手法の評価基準も確立されず、有用なアプリケーションへの展開、実用的技術へのスケールアップなどが遅々として進まないという問題が明らかです。

本ワークショップでは、日常生活のコンピューティングがもたらすリアルプロブレムへの社会貢献と、その活動から生まれる新しい基礎研究や、その研究スタイルを議論します。 実生活におけるサービス技術に発展可能な人間の行動理解研究のため、行動を観測するためのセンサ、認識技術、人間行動をモデル化する分析/学習/データマイニング手法、人間モデルを活用する推論/応用システムなどに興味を持つ研究者・企業・実務家を集め包括的な議論を可能にすることを目的として本ワークショップを企画いたしました。 講演会では、WHOやコロラド州立大学から講演者を招待し、実践的研究・活動を紹介します。 また、ヨーロッパで新たに始まった進行中のプロジェクト(TACT: Thought in Action)に関する招待講演と、我々自身の取り組みの紹介を行います。

さらに、ワークショップ終了後には、隣接する産総研臨海副都心センターにて、デジタルヒューマン研究センターのオープンハウスを企画しています。

熱い皆様のご参加をお待ちしております。

新着情報

開催概要

日時: 2007年3月2日(金)
10:10-16:00 (講演会), 16:00-18:00 (オープンハウス)
※受付は9:30からです
場所: 講演会: 日本科学未来館 みらいCANホール
オープンハウス: 産業技術総合研究所臨海副都心センター3F
いずれも、東京・お台場 (ゆりかもめ・テレコムセンター駅5分)
産総研臨海副都心センター 交通案内のページへ
参加費:無料
主催: 独立行政法人 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業
独立行政法人 産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究センター

タイムテーブル (予定)

以下のタイムテーブルは変更される可能性がございます

9:30受付開始
10:10~10:40 開会挨拶 Digital Human Research Centerの展開
  金出武雄 (デジタルヒューマン研究センター)
10:40~11:10 招待講演
「WHO Programme on Child Injury Prevention」
  Dr. Hisashi Ogawa (WHO: World Health Organization)
11:10~11:55 招待講演
「Robotics and Mechatronics Technologies for Monitoring and Evaluating
  Impaired Neuromotor and Cognitive Functions in the Developing Child
  and in the Aging Person」

  Prof. Paolo Dario
  (CRIM & ARTS Labs, Scuola Superiore Sant'Anna, Pisa, Italy)
11:55~13:30昼食
13:30~14:10 招待講演
「Engaging the Community and Experts in Injury Prevention」
 (傷害予防にコミュニティとエキスパートを巻き込む)
  Prof. Lorann Stallones (Colorado State Univ. in U.S.)
14:10~14:40 「子どもの傷害予防に対する阻害要因に反論する」
  山中龍宏 (デジタルヒューマン研究センター)
14:40~15:00Coffee Break
15:00~15:30 「子どもの事故予防のための日常生活センシングとモデリング」
  西田佳史 (デジタルヒューマン研究センター)
15:30~16:00 「日常生活コンピューティングのためのプラットフォーム」
  本村陽一 (デジタルヒューマン研究センター)
16:00~18:00オープンハウス:DHRC見学会

Top ∆

講演概要

WHO Programme on Child Injury Prevention
Dr. Hisashi Ogawa

Child injuries are a global public health problem. According to WHO's Global Burden of Disease, in 2002 around 875,000 children and adolescents under the age of 18 died as a result of injury or violence. In addition, millions of children were non-fatally injured, many of whom live on with varying degrees of disability. While many prevention programmes have been shown to be effective, much more awareness and political commitment is needed in most parts of the world to reduce these unacceptably high numbers. As part of WHO's strategies to raise the visibility, a global plan of action for child injury prevention has been developed. A major output from this plan of action is the development of a world report on child and adolescent injury which will pull together what is known about child unintentional injuries, their risk factors and prevention strategies. The world report will include a set of recommendations for prevention for WHO Member Sates.

Robotics and Mechatronics Technologies for Monitoring and Evaluating Impaired Neuromotor and Cognitive Functions in the Developing Child and in the Aging Person
Prof. Paolo Dario

Neurodevelopmental Engineering is a new interdisciplinary research area at the intersection of developmental neuroscience and bioengineering, mainly concerned with quantitative analysis and modeling of human behavior during neural development in children. Along such a line, our research focuses on early diagnosis of neurodevelopmental disorders such as Autism, currently diagnosed after 3 years of age. We propose a novel approach to the assessment of basic patterns of goal-directed actions in normally developing babies, in the 0-24 months of age range, both under laboratory and naturalistic conditions. In particular we propose novel mechatronic devices, either wearable or embedded into toys, for ecological, unobtrusive assessment of infants behavior. Research activities are in progress for the development of sensorized toys for monitoring the neuro-development in human infants, as a support for early diagnosis of autism and other syndromes of the authism spectrum.

This research is being carried out within the TACT (Thought in ACTion) Project, a 3-year research project funded by the European Union under the NEST (New and Emerging Science and Technology) Adventure Programme. TACT aims at developing non-obtrusive, user-friendly technological aids and methods allowing the extraction of more information from infant movement than is currently possible. TACT aims at analyzing different goal-directed actions that are typically performed by infants, particularly actions with communicative content (gestures, gaze), using instrumented toys that are able to record movement parameters, as the baby plays with the toys, as well as sensors that allow the assessment of grip strength, and grasping patterns. In order to tap into the emotional world of the baby, some toys are engineered to respond to manipulation with sounds and melodies whose complexity depends on the complexity of movement. TACT also aims at developing novel systems to monitor complex communicative actions such as vocalization and gaze in infants. The devices are intended to be released, after objective high-tech lab testing, to clinical centres that do not have access to high-tech motion- and gaze-tracking systems, and via clinical centres also directly to homes. The new devices and tools may allow earlier diagnosis of neurodevelopmental disorders such as Autism Spectrum Disorders.

Engaging the Community and Experts in Injury Prevention (傷害予防にコミュニティとエキスパートを巻き込む)
Prof. Lorann Stallones

効果的な傷害予防を進めていくためには、地域の住民、特定の集団(学校、職域など)のニーズをみきわめ、地域・集団、行政、NGO、研究者などが協力して取り組んでいくことが不可欠である。 価値観、アプローチ方法などが大きく異なる立場にある人々がどのように協力しあい、傷害予防という共通の目標に向かっていくか、これは大きな課題である。 米国ロッキー山脈地域6州で傷害予防対策の研究・介入実践を進めているコロラド傷害対策研究センター長ロラン・スタロンズ教授が、Community-based Participatory Action Researchを基礎アプローチとして運営されている同センターの経験から、地域に根ざした傷害予防の例を紹介する。

子どもの傷害予防に対する阻害要因に反論する
山中龍宏

子どもが事故によって傷害を受ける. それを予防する。 ------この予防活動に反対、あるいは非難する人はまずいないであろう. しかし,実際には予防活動は行われておらず,効果のある予防活動を展開することは大変困難な仕事である. 私は20年以上にわたって子どもの事故予防に取り組んできたが,予防活動を阻害,あるいは妨害する要因は山ほどある. これらを列記して,それら一つ一つに反論してみたい.

子どもの事故予防のための日常生活センシングとモデリング
西田佳史

量子論や宇宙論といった自然科学分野には,大抵の現象をうまく説明し,再現できるような「標準モデル」が存在しているが,日常生活の標準モデルと呼びうるようなものは未だ存在していない. ロボットに代表されるような人工知能物が,今後,日常生活というシステムの一部として機能するためには,日常生活に関する知識が計算機から再利用できる形で蓄積されたもの,すなわち,日常生活の計算モデルが,基盤技術として重要である. 逆に,こうしたモデルが無ければ,日常生活支援システムの設計論や制御論は容易に自己目的化可能となり,実際に役に立つ理論を展開することは困難である. 日常生活のモデルを作るためには,現象を記述するためのセンシング技術と,日常生活の定量化に基づいて計算モデルを構築するためのモデリング技術が不可欠である. 近年,ユビキタスセンサ技術を用いた全空間的物理現象センシング技術,インターネット技術を用いた全世界的社会現象センシング技術,また,これらのセンシング技術によって得られた大規模なデータベースに基づいた確率論的モデリング技術が利用可能になっており,我々の日常生活を科学や工学の対象として扱う基盤技術が徐々に整いつつある. 本講演では,日常生活の計算モデルを構築するための日常生活のセンシング・データベース・モデリング技術を述べる. さらに,これら要素技術をエビデンスベースドなサービスを媒介として実社会と統合することで、要素技術とサービスの持続的な発展を可能とする技術を述べる. 特に,子どもの事故予防工学の観点から,これら要素技術および社会システム化技術を具体的に例示し,新しいパラダイムとしての日常系の科学技術とその方法論を展望する.

日常生活コンピューティングのためのプラットフォーム
本村陽一

情報技術が日常に十分浸透し,人の生活空間において様々な機能を果たすものになっている. しかし,現在もシステムが人間の行動を理解することはなお難しく,意図や行動の深い理解よりも,システムが端的に判断できるものに実用的な技術は限られている. しかし,設計者が想定できない子どもの行動による事故を防いだり,高齢者や介護を必要とする弱者に対する支援を代替したり,運転手と協調して車を制御するためには,状況依存性の高い人間の行動や意図を包括的に理解し,その上で人と協調してシステムが最適に動作することが必要である. これは情報処理技術の本質的な問題に対するチャレンジである. そこで多様な生活環境で利用者に密着して機能する知能システムを実現するために,我々は人間の多様な生活環境,行動と意図などを深く理解し,モデル化し,利用する技術を目指す. これは幅広い視点と多くの研究の蓄積が必要であり,そのためには,人間の生活環境おける人工知能技術の深化のための開かれた共同研究スキームが不可欠である.

Top ∆