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Activity

デジタルヒューマン・シンポジウム 2008

デジタルヒューマン研究センター(DHRC)では、2001年の発足以来、人間の機構・運動、生理・反応、認知・心理的なコンピュータモデルを築く研究を継続しており、人間の体型データベース、人間適合型の製品設計法、ヒューマンエラー解析、日常行動の科学と子供の事故予防、人間と共存するロボット技術などで多くの成果を上げてきています。

今年は、「人間ボディリンガル」をテーマとしたシンポジウムを開催します。 人間ボディリンガルとは、人間が放つ、非言語的な情報、特に生理的、運動的な情報を手がかりに、ストレスや睡眠など人間の感情や行動を推測する技術です。 日常的な生理指標の非侵襲計測から何がわかるか、人間の認知・運動特性はどのように推定できるか、医療や健康のモニタリングにどのように使えるかについて、4件の招待講演と4件のDHRCの研究紹介を行います。

さらに、シンポジウム終了後には、我々の研究拠点である、産総研臨海副都心センターにて、デジタルヒューマン研究センターのオープンハウスを行います。我々のすべての研究をご覧頂き、研究者と熱く意見を交わして頂けることを期待しています。

新着情報

開催概要

事前参加登録

ワークショップ当日は受付開始から開会までの時間が短いため、非常に混雑が予想されます。 そこで、当日の受付を円滑におこなうため、参加をご希望の方には事前登録をお願いしております。ご協力をお願いいたします。
なお、事前登録されていない方でも当日受付していただくことでご参加いただけますが、お名前等をご記入いただく関係で多少余計にお時間がかかります。

WEB事前登録に関してご不明の点がございましたら、堀俊夫([javascript protected email address])までご連絡ください。
それ以外のお問い合わせはデジタルヒューマン・シンポジウム事務局([javascript protected email address])までご連絡ください。

事前登録は終了いたしました。

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プログラム

以下のタイムテーブルは変更される可能性がございます

9:30受付開始
9:45~10:15 QOLテクノロジー&デジタルヒューマンリサーチ
金出 武雄 (デジタルヒューマン研究センター)
10:15~11:05 招待講演
The Tip of the Iceberg [英語]
Astro Teller (BodyMedia,Inc.)
11:05~11:35Coffee Break
11:35~12:15 招待講演
「情報薬」による戦略的防衛医療構想 -生活習慣病への新しいアプローチ-
辰巳 治之 (札幌医科大学)
12:15~13:10昼食
13:10~14:00 招待講演
Facial Expression and Emotion for Human-Centered Computing [英語]
Jeffrey F. Cohn (University of Pittsburgh)
14:00~14:40 招待講演
脳波からみた睡眠中の脳機能
内田 直 (早稲田大学)
14:40~15:10Coffee Break
15:10~15:30 研究発表
呼吸波形特徴による痛み・ストレス検知技術
酒井 健作 (デジタルヒューマン研究センター)
15:30~15:50 研究発表
メンタルヘルスモニタのための睡眠の質と自律神経系の規則度の計測
三輪 洋靖 (デジタルヒューマン研究センター)
15:50~16:10 研究発表
安心空間設計のための移動データ解析とシミュレーション手法の統合
和泉 潔 (デジタルヒューマン研究センター)
16:10~16:30 研究発表
操作するデジタルヒューマン
Edwardo Murakami (デジタルヒューマン研究センター)
16:30~18:30オープンハウス:DHRC見学会

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講演概要

Astro Teller 「The Tip of the Iceberg」

米国 BodyMedia社 会長
http://www.astroteller.net/

"人間の体を連続的に計測し理解する"この研究はこれまで150年に渡り進められてきました。 このうち、我々が生活する実環境でのボディモニタリング技術は、比較的新しい分野でありながら飛躍的な進歩を遂げていると言えます。 今回の講演では、生活空間での長期的な連続計測について、過去から現在までの技術例、また我々が開拓する新たな分野についてご紹介します。 ボディモニタリングの新しい技術や方法論、製品が今後の5年間でどのように展開して行くのかを出発点として議論を始め、ボディモニタリング技術がもたらすであろう将来のライフスタイルについて紹介します。

従来のボディモニタリング技術は、医療や健康の分野で多く用いられてきました。 しかし、簡便で長期的な連続計測を実現するウェアラブルなボディモニタリング技術は、医療や健康の分野にとどまらず、我々のライフスタイルの様々な側面において大きな変革をもたらす可能性を持っています。 これは、例えば、パーソナルコンピュータの急速な普及が引き起したライフスタイルの変革に匹敵する可能性を持っています。 このような幅広い視点から将来のボディモニタリング技術とライフスタイルの変革について議論を進めます。

辰巳 治之 「情報薬による戦略的防衛医療構想 -生活習慣病への新しいアプローチ-」

札幌医科大学 教授
http://www.sapmed.ac.jp/~tatsumi/

われわれは、解剖学的発想に基づきながらも、ITをフル活用して生体情報を集め、生活習慣病を克服するための研究「生体情報形態学」に挑戦してきた。 そして、「超予防医学(SPPM: Super Proactive Prophylactic Medicine)」の一種である「戦略的防衛医療構想(SDMCI: Strategic Defensive Medical-Care Initiative)」に理論を拡張。 その核となる「ゼロクリック(Zero-Click)」「逆ナースコール(Reversed Nurse-Call)」「情報薬(Info-Medicine)」という3つの新コンセプトを提案してきた。

分かっているけれども止められない悪習慣をどのように改善するか、良いという習慣をどのように継続するかが、生活習慣病対策のポイントである。 そこで、患者予備軍に対して、ITをフル活用した「ゼロクリック」健康モニタで収集した生体情報に基づき、分かりやすく、また人間の心をうまくくすぐるような「情報薬」をタイミングよく「逆ナースコール」で提供することで、病気の予防に向けた行動変容を促す。

本講演では、この戦略的防衛医療構想の実証研究について紹介する。

Jeffrey F. Cohn 「Facial Expression and Emotion for Human-Centered Computing」

米国 ピッツバーグ大学 教授
http://www.pitt.edu/~jeffcohn/

従来、感情と主観的な経験は同一のものであり、人間中心計算論(Human-Centered Computing)とは感情認識であると考えられてきた。 しかし、前者は時代遅れで、後者は誤った考え方であり、人間中心計算論には、新しい考え方が必要とされている。 感情は日常生活における個々人の価値観に依存するため、人間固有で進化し続けるものである。 また、主観的な経験には単一の要素しか含まれていないが、感情には多くの要素が絡み合っていて、直接的には観察できないが、ふるまい、自己申告、生体指標、文脈などから推測できる。

講演では、従来の指標や研究との一貫性から、表情による感情表出、特にその計測、個人差と個人のタイミングに着目して行ってきた研究について紹介する。 将来的には、より自然主義的な人間中心計算論のデザインに結び付くことが期待されている。

内田 直 「脳波からみた睡眠中の脳機能」

早稲田大学 教授
http://www.f.waseda.jp/sunao/

生理学的には、睡眠は意識が低下状態であり、脳活動も低下していると考えられているが、完全に休止しているわけではない。 われわれは、脳波を用いた睡眠中の脳活動の研究を行ってきた。 本講演では、人間や動物を用いた研究の結果を合わせながら、脳波からみた睡眠中の脳機能について紹介する。

人間の睡眠は、ノンレム-レム睡眠を周期的に繰り返して覚醒を迎えるが、これに伴って脳波も周期的に変動する。 睡眠脳波を調べると、0.3-3Hz のデルタ波、12-16Hzのシグマ波、20-28Hz のベータ波の3種類の周波数帯域がある。 深い睡眠状態であるノンレム睡眠中では、デルタ波が増え、シグマ波やベータ波は減少するが、夢見などにより脳の活動が活発な状態であるレム睡眠中は、デルタ波、シグマ波は低く、ベータ波が強くなる。 睡眠中の脳波とPET の同時計測によって、脳波と脳部位の関連を調査したところ、中脳、脳幹、前頭葉帯状回における脳血流とベータ波との相関が高いことが明らかになった。 以上より、人間の睡眠において、ベータ波の活性度と覚醒レベルに相関があることが示唆された。

三輪 洋靖 「メンタルヘルスモニタのための睡眠の質と自律神経系の規則度の計測」

デジタルヒューマン研究センター 研究員

近年、うつ病などメンタルヘルスに問題を抱えている方は急増しているが、自覚症状がはっきりとしないため、適切な治療を受けていないことも多い。 これに対し、精神疾患の多くは脳機能の疾患であることから、精神状態の変化は、自覚症状以外にも脳が司っている自律神経系や無意識の動きなどに表れると考えた。 そして、生体信号の日常的な計測によって、うつ病などの精神疾患の早期発見が可能なメンタルヘルスモニタの開発を行ってきた。

本発表では、うつ病を検出するための指標として、睡眠の質と自律神経系の規則度指標を提案し、健常者とうつ病患者に対する50日以上におよぶ提案指標の長期連続計測に関する結果と考察について紹介する。

和泉 潔 「安心空間設計のための移動データ解析とシミュレーション手法の統合」

デジタルヒューマン研究センター 主任研究員

本研究では、幼児の家庭内事故の軽減の観点から、センサーデータの解析によって構築された移動者モデルのマルチエージェントシミュレーションにより室内レイアウトの事前評価を行う技術を提唱する。 本手法により空間レイアウトと移動者と室内の物品の相互作用のモデル化を行う。 レイアウトの変更が危険率に与える影響をマルチエージェントシミュレーションにより推定する。 さらに、本研究で新たに開発した移動軌跡データマイニング手法を視線データなどの他の移動軌跡データの解析に応用する。

Edwardo Murakami 「操作するデジタルヒューマン」

デジタルヒューマン研究センター 研究員

人間はフィードバック制御システムの中で操作インタフェースを介して複数のフィードバック情報から操作対象の特性を把握し、少しずつ対象のモデル、いわゆる内部モデルを獲得していくのである。 このように環境とインタラクションをともなう作業の場合、内部モデル獲得するには視覚情報だけでなく力覚情報や聴覚情報も重要であると考える。 さらに、人間に適した操作インタフェースまたは機械特性を設計するにはまず操作者自身の制御モデルがもとめられる。 そこで、複数の感覚フィードバックによる人間の制御モデルを構築し、このモデルを用いて適切な操作インタフェースまたは機械特性の設計について発表する。

また、各フィードバックによる人間の制御モデルを同定するために開発マスタ・スレーブ型シーソー実験装置 SEED (SEesaw Experimental Device) を紹介する。 このSEEDをもちいて視覚情報のみ、力覚情報のみとこれらの複合作用下における操作者の特性を伝達関数の形で表現した。 さらに、この伝達関数のパラメータと操作者の筋骨格系や反射系の特性との関連性を調べるために視覚刺激による運動反応時間を測定した。 本発表では、各感覚フィードバック情報における操作者モデルの同定パラメータと測定した眼球運動、筋電信号、反応時間との関連性について報告する。

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