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研究業績

人体寸法項目ID (ICAM : Identification Code of Anthropometric Measurements)

背景

人体寸法とは身長や胴囲などの身体各部の寸法と体重からなる「人の体つき」を表すデータです。 これらのデータから、その人の体の大きさを知ることができます。 また、たくさんの人の人体寸法データを集めて、そのばらつきを知ることで、衣服のサイズを考え直したり、住宅や自動車を誰もが使いやすいように設計することが可能になります。 日本でも身長や体重などの基本データは文部科学省や厚生労働省によって大量に集められています。 ただ、それだけでは手足の長さや頭の大きさなど細かい部位ごとの寸法が分かりません。 机やイス、ヘルメット、靴などの設計にはもっと細かい部位の寸法が必要です。 そこで、経済産業省では定期的に大規模な日本人の人体寸法計測事業を実施し、そのデータを有償配布しています


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このような大規模人体寸法計測では、巻尺などを用いて個々の部位の長さを手作業で計測するのが一般的でした。 近年、これに替わる方法として人体の3次元的なかたちを測定し、そのデジタルデータからコンピュータ上で人体各部の寸法を取得する技術が使われるようになってきました。 多くの部位の寸法を一瞬で測定でき、そのままデジタルデータとして保存できるため、効率的です。 最近では、かたちの計測から人体寸法の計算まで自動的に処理してくれるシステムも出てきています。

これらのシステムが普及し始めたことで、従来、専門的な研究機関で集中的に実施されてきた体形計測が、ショップやフィットネスクラブ、健康診断などの場面でも行われるようになってきました。 自分の体にフィットする服をオーダーしたり、体形の変化を管理して健康チェックをするなどの目的に利用され始めているのです。

それにともなって、日本人の体形データがさまざまな機関や場所で蓄積されるようになってきました。 このようにして集められた体形データの統計量は、将来的に、われわれにとって使いやすい製品の設計に使われていくことになると期待されています。 そのためには、さまざまな機関や場所で分散的に集められるデータを統一的に処理できるように、計測項目(身長、胴囲、座高など)に決まったIDをつけておく必要があると考えています。 残念ながら、世界標準となる人体寸法項目のIDは提案されていません。われわれ、デジタルヒューマン工学研究センターのメンバーは、ISO(国際標準機構)の人間工学関連標準(TC159)の人体寸法と生体力学関連標準(SC3)の議長やプロジェクトリーダーを務めていますが、ISOの中でも共通コード表を作ろうという動きは活発ではありません。

海外では、フィットネスクラブや健康診断で体形を測るのは一般的ではなく、人体寸法データはあくまでも国家的事業での収集が中心です。 IDを統一しようというのは、分散計測のデータを統合処理するためですから、集中計測しか想定されないのであれば、気運が高まらないのもやむを得ません。 むしろ、「健康管理のために体形を測ろう」という意識の高さにおいて先行する日本が率先して、このIDを決めるべきではないかと考えました。


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そこで、われわれ、デジタルヒューマン工学研究センターは、ISOの寸法項目、国内外の寸法計測事業で計測された項目、市販のシステムで計測できる項目を考慮して、これらを容易に検索できる人体寸法項目のIDを独自に定義することにしました。 多くのデータが蓄積されてしまう前に、共通的なIDをつけて将来的なデータの検索・再利用性を担保しておこうということです。 われわれと共同研究をする、もしくは技術的に連携している人体計測システムの開発企業や人体データを計測・蓄積するサービス事業者に、これを提案し、利用を推進していきます。

基本コンセプト

人体寸法計測には100年以上の歴史があります。 人体にはさまざまな部位があり、姿勢によっても寸法が変わります。 その厳密な分類や定義は、専門家でないと分からない部分が数多くあります。 そのような詳細な分類は学術的に正確である反面、計測事業者やデータ利用者から見ると煩雑で分かりにくいものになりがちです。

そこで、われわれの提案する人体寸法項目ID 「ICAM(Identification Code of Anthropometric Measurements)」は、学術的な厳密性にあまりこだわらず、人体寸法の専門家ではない人でも、計測した項目のIDがどれであるか分かる、あるいは、自分が設計に利用したい寸法項目のIDがどれであるか分かるようなレベルを目指しました。 幸いにして、この人体寸法項目ID(ICAM)が普及して利用された場合、後年、「専門家が定義したのに、なぜ、こんな好い加減な(あいまいな)定義をしたのだ。細かい違いを区別して検索できないではないか」と批判されることを覚悟の上で提案します。

項目にIDをつける目的は、分散して存在する多数のデータベースから、容易に欲しい項目を検索できるようにすることです。 項目IDを決めるときに考慮すべき事項として、ユニークさ/粒度、網羅性、拡張性があります。 ユニークであるほど(粒度が低い)厳密であり、決定(判断)に専門的知識が必要で、拡張性は低くなります。 ここでは、人体計測の専門家ではない人が項目IDを決定することを想定して、項目IDの決め方と一部の項目のIDを定めました。

データを検索できるようにすることを重視するため、項目の細かい定義の違いは区別していません。 たとえば、座位計測姿勢で足底を支持するか下腿下垂とするかの違い、身長の計測姿勢で耳眼面水平を明記するかしないかの違いは区別していません。 また、衣服設計関連項目では肩先点と肩峰点を区別していません。 同じく、ウエスト以外の項目(たとえば前中心丈や股上前後長)で使われるウエストラインの詳細な定義の違いは区別していません。 非接触式3次元形状計測装置による計測値は、計測時の姿勢(正立位か上肢・下肢を外転するか)や計測点決定の方法(人間が計測点位置にマーカをつけるか、自動的認識するか)を区別していません。

利用規程

配布物

意見・ご希望

本ガイドラインの内容について、ご意見・ご希望がございましたら、河内まき子(Mail: [javascript protected email address])までご連絡下さい。

本ガイドラインをデータベースなどのソフトウェアに用いる際の技術的なご相談については、森田孝男(Mail: [javascript protected email address])までご相談下さい。