
世の中にはいろいろな人がいます。背の高い人、痩せた人、動きの敏捷な人、からだの硬い人....もちろん、子どももいれば高齢者もいます。からだの一部が不自由な方もおられます。そういう人々が使う製品やシステムの設計には、想定されるユーザの人間機能の多様性を知ったうえで、それに応じた設計をする必要があります。現在は製品を試作して、実際に何人かの人で使ってみて、使いやすさの度合いを人が答えて数値化することで人間との親和性を評価しています。
これに対して、デジタルヒューマン研究センターでは、人間の寸法・形状・構造・運動・力・感覚・感性などのデータを収集し、科学的知見に基づいて「想定されるユーザのあり得る人間機能」をコンピュータ上に再現する研究を進めています。設計を支援するコンピュータ自身が、製品だけでなく製品を使うユーザのことを知っていて、人体適合製品作りを手助けしてくれるわけです。
人に合わせるデジタルヒューマン研究チームでは、大きく3つの研究を進めています。
第1は、ユーザ個人の体の特性を測り、それに応じた個別製品をコンピュータ上で設計・製造し、個人に合わせて販売していくビジネスのための研究です。「オンデマンド着装品」と呼んでいます。
第2は、手に特化して、寸法から運動、触覚、エラーにいたるまでの広範な機能を統一的な手のモデルとして構成・再現し、手で扱うさまざまな製品の設計に役立てようという研究です。「デジタルハンド」というプロジェクトです。
第3は、全身の寸法、形状、運動機能を再現し、自動車や住宅設計に役立てるための研究です。「デジタルマネキン」と呼んでおり、企業コンソーシアムを作って産学官連携して研究を推進しています。