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研究内容

人体寸法計測技術

人体寸法とは、被験者が同じ人ならば、誰が測っても同じ値が得られるように、統一された方法に基づいて測られた人体各部の寸法のことです。 人体各部の寸法データは、様々な工業製品の設計に利用されています。 人体寸法データとして通常手に入るのは、統計量です。 つまり、被験者を性別や年齢層に基づいていくつかの群に分けて、群ごとに平均値や標準偏差、パーセンタイル値を計算したものです。

時代変化

時代変化とは、「人間の特徴(身長など)が、長期間にわたって変化すること」をさします。 ただし、長期間といっても人間の寿命に比べて長期間、という意味であって、数十年から百年間くらいの期間をさしています。

図1は、縄文時代から現代までの、関東地方の日本人男性の平均身長をみたものです。 古墳時代以後、平均身長は低下して、江戸時代終わりから明治時代の初めにかけて、最も低くなりました。 それ以後の変化速度が、これまで経験したことがないほど急激であった事がわかります。

このような身長の時代変化は、ヨーロッパ諸国やアメリカでもおこってきました。 現在、身長の時代変化が止まったのは、オランダと北欧の数カ国だけといわれています。 身長の時代変化は、栄養状態やGNPなどと同時に同じような変化をしてきたことから、その原因は主として環境要因によると考えられています。

図1.日本人成人男性平均身長の時代変化
図1.日本人成人男性平均身長の時代変化

大世代差時代

図2は、時代変化速度がこれまでになく急速におこった過去100年間について、生まれた年と、その年にうまれた人が20歳になったときの平均身長の関係をグラフにしたものです。 日本人男女の20歳時平均身長は、過去100年の間に10cm以上高くなっています。 平均身長は、1940年代生まれの世代で急激に伸び、1970年代以後に生まれた日本人では止まりつつあります。

世代による体格の差がしばしば取り上げられます。 それは、年をとって身長が縮んだためでもありますが、それ以上に時代変化による部分が大きいのです。 現在は、1920年頃に生まれた小柄な女性から1980年頃に生まれた大柄な男性までが同時代に生きています。 急速に進んだ時代変化のために、これまでになく個人差が大きい時代なのです

図2.日本人20歳男女の平均身長の時代変化
図2.日本人20歳男女の平均身長の時代変化 (政府の統計による)
○: 学生、●: 壮丁、◆: 一般

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日本人の人体寸法データ

現在は世代による体格の差が非常に大きい時代です。 製品の設計に人体寸法を利用するならば、ターゲットとする集団を決め、その集団を適切に反映する人体寸法データが必要です。 今の若い人を対象にするならば、数十年前のデータでは古すぎるかもしれません。

産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センターでは、以下の人体寸法データを公開しています。

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人体寸法の計測法

人体寸法計測は、いわゆる「マルチン式計測器」を用いた手計測によるものが大部分です。 人間を測るための、特殊な計測器を使います。 これらは、1mmピッチの目盛りがうってあり、人体の様々な部位を簡便に測るのに都合よくできています。

2001年末現在の段階では、非接触式人体3次元形状スキャナから得られた寸法は、手計測された寸法に比べて再現性が低いうえ、手計測された値と必ずしも同じ値にはなりません。 3次元スキャナで測った寸法は、手計測した値と比べた妥当性評価がきちんとなされていない限り、従来の手計測で測られた寸法とは別物とみなすべきです。

計測器具

人体寸法のための計測道具は、以下のようなメーカが製造しています。 購入する場合は、できるだけ実物をさわって、価格と使い勝手を考慮して決めることを奨めます。

計測精度

熟練した計測者により手計測された人体寸法の再現性(同じ計測者が同じ被験者を2回測った時、どの程度2回の計測値がくい違うか)については、以下のような文献があります。 3次元形状スキャナの計測精度は、計測空間の大きさとカメラの解像度に依存します。 一般に、熟練した計測者の計測データの再現性と精度は、3次元スキャナによる計測データより、むしろまさっています。
(Kouchi M., et al., 1996: Random errors in anthropometry. Journal of Human Ergology, 25:155-166.)

計測法の教科書

サンプルの代表性と全国データ

人体計測調査において、推定使用者集団の全数調査は不可能です。 また、ランダムにサンプリングすることも現実には不可能です。 調査対象とした被験者集団が、推定使用者集団を適正に代表しているかどうかを検討するためには、該当する年齢の日本人についてランダムにサンプリングした資料と比べるとよいでしょう。 このような資料として、文部省による体力・運動能力調査報告(文部省の図書室で閲覧可能)および厚生省による国民栄養調査の報告(「国民栄養の現状」が毎年出版されている)があります。

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