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研究内容

医用画像から手の構造モデル

概要

製品設計に役立つ手のモデル化のためには,操作する対象の指先の位置姿勢を精度良く再現できることが大前提であり,それにはまず,人の手の骨格の詳細な構造を知っておく必要がある. 例えば,指部分の関節の回転軸は互いに平行であるとしてモデル化されることが多いが,実際にはそうではない. こうした知見は,解剖学の分野では良く知られているが,生きた人間の骨格に関して,定量的な検証がなされていない. そこで,本研究では,複数の姿勢で医用画像を取得して骨格をそれぞれポリゴンとして取り出し,その運動を分析する方法を構築した.

ここではまず,抽出した骨格ポリゴンを使って回転軸を導出する方法を説明する.

また,このとき,多姿勢のMR画像から骨格ポリゴンをそれぞれ自動で抽出するのは,解像度や輝度値分布など手部のMR画像の特徴から簡単ではない. このプロセスの省力化をはかるために開発した,多姿勢のMR画像から骨格の位置姿勢を同定する手法についても説明する.

骨ポリゴンを用いたリンク構造解明

関節回転軸の導出手法

運動に伴う骨格の動き方を明らかにするため,複数の静止姿勢のMRI画像を取得し,それぞれ骨格形状のポリゴンを抽出する. このうち,2つの姿勢を組み合わせ,各関節について,親となるリンクの位置姿勢を合わせた状態で子リンクが相対的にどのようなヘリカルアクシス(Fig.1)周りに動くか,を計算する. もし,対象となる関節が1自由度で一定の軸周りに運動するのであれば,求めたヘリカルアクシスは,どの姿勢を組み合わせても変化がないはずである.

Fig.1: ヘリカルアクシスの概念
Fig.2: 親リンクの位置姿勢を合わせ,親リンクの座標系で子リンクの相対運動を考える
Fig.3: 親リンクに対する子リンクの相対的な位置を重ねて表示(人差指)

MR画像からのポリゴン抽出,関節軸の計算結果

Fig.4: MRIを計測した3姿勢
Fig.5: 骨ポリゴンと,求めた関節回転軸
Fig.6: 人差し指の結果について
(PIP,DIP軸のねじれの様子がわかる)

骨モデルマッチングによるMR画像からの骨位置姿勢の同定

目的

多人数・多姿勢のMR画像から "なるべく早く" "安定して" 骨位置姿勢を求める

特徴と課題

手部のMR画像では,

といった特徴を有することから,単純なしきい値処理などにより骨格を自動抽出することはできない. そのため,骨領域を確実に抽出するには,オペレータが領域毎に適したしきい値をインタラクティブに設定する方法が,現在のところもっとも確実な方法である.[1]

しかし,各姿勢を構成する画像数は100枚程度もあり,これをオペレータがすべて処理するには膨大な作業が必要となる. また,同一の被験者の骨の形は姿勢が異なっても同じはずにもかかわらず, 手骨の大きさに対し解像度が高くないことなどから,計測姿勢により同じ骨の"映り"が異なり,抽出されるポリゴン形状は,特に指先の小さな骨で大きく異なってくる. また,オペレータの手作業であることから,オペレータが異なれば,どうしても形状が異なってしまうことは避けられない.

そこで,ここでは,「ポリゴンの抽出」による位置姿勢同定ではなく,「ポリゴンモデルのRegistration」による位置姿勢同定と捉え,次のアプローチで問題を解決することにした.

骨モデルマッチングによる骨位置姿勢の同定

これにより,処理に必要な時間は,Step1の手作業の部分だけとなり,大幅な省力化が実現した.

Fig.7: 手のMRI画像の特徴
Fig.8: オペレータによる骨モデルの初期位置指定設定
(ボリュームレンダリングしたMRボクセル空間に骨ポリゴンを重ねる)

Refernces

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