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研究内容

モーションキャプチャからのリンク構造同定・姿勢計測

はじめに

製品設計に役立つ手のモデル化のためには,操作する物体に対する指先の位置姿勢を精度良く再現できることが大前提である. 手の動きを計測する方法としては,グローブ型のセンサなどもあるが,被験者の手の大きさによってはグローブのサイズが合わずうまく測ることができず,計測可能な自由度も不足している. そこで,多様な被験者の手を必要な自由度で計測する,という観点から,手の表面に多数のマーカを貼付してその位置を計測する,"モーションキャプチャ"による動作計測を考える.

人間の手の場合,比較的小さな空間に,約30という高自由度のリンク構造が含まれている. すなわち,隣合う指同士の位置関係が近く,同じ指節内でもマーカ同士の間隔を大きくとることができないため,オクルージョンが多発する. また,皮膚変形が全身に比べて相対的に大きく,各関節の可動範囲も小さいために,全身用のリンク同定技術を直接適用することは難しい.

本研究では,これらの問題を考慮し,指先位置が1~2mmの精度で再構成可能であるような,リンク構造の同定と姿勢計測方法を提案する.

手のリンクモデル

人の手は,第4指および第5指のCM関節が若干動くことで手のひらのアーチが変化し,これらの指の指先位置に影響する. しかし,キャリブレーション動作から正確な関節中心位置を同定できるほどの可動範囲はない. そこで本研究では,Fig.1(b)に示すようなリンクモデルとして扱うことにする. 手のひらを二つの部分に分けることで,CM関節を直接扱うことなく手のひらのアーチを考慮する. また,親指の根元のCM関節は,複雑な動きをすることから6自由度として扱う.

人の手のリンク構造
(a)人の手の骨格構造 (b)リンクモデルと自由度
Fig.1: リンク構造

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キャリブレーション動作を使ったリンク構造の計算

上で述べたように,隣接する指同士の関係や,一つの指節の小ささなどに起因するオクルージョンを避けるため,マーカ数を少なくする必要がある. そこで本研究では,Fig.2に示すようなマーカ配置で運動を計測する. 少ないマーカ情報から,高次元のパラメータ同定問題を解くために,ここでは「解剖学的特徴を考慮した問題の部分単純化」と,「キャリブレーション動作の規定」を行った.

例えば,第2指から第4指のPIP関節以遠については,PIP関節がある程度曲がっていることを仮定し,MP,PIP,DIP関節の直上に貼付した3マーカのなす平面内でリンクパラメータ同定問題を考えることで,3次元のリンク同定問題を2次元の問題に単純化することにした. ただし,このときDIP関節とPIP関節の関節回転軸は平行ではない(医用画像を用いたリンク構造の解明を参照)といった解剖学的特徴を考慮することで,単純化の弊害を回避している. また,Wrist関節位置を同定する場合,MP関節直上に貼付したマーカを用いるが,MP関節の姿勢(関節角度)が変化すると,Wrist関節との距離が変化するため,同定精度が悪くなる. そこで,MP関節の姿勢は固定する,という規定を加える.

全関節について,同様の対策を行うことで,Fig.3に示すように円筒を持つ姿勢を,指先再構成精度平均1.6[mm]で再現することが可能となった.

マーカ配置
Fig.2: マーカ配置
Diameter=100mm
(a) Diameter = 100[mm]
Diameter=62mm
(b) Diameter = 62[mm]
Diameter=50mm
(c) Diameter = 50[mm]
Diameter=30mm
(d) Diameter = 30[mm]
Diameter=15mm
(e) Diameter = 15[mm]
Fig.3: 円筒を持つ姿勢の再構成(指先位置 再構成精度 平均1.6[mm])

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