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研究内容

HandMetrix

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手の寸法は製品設計や手のデジタルモデルの作成に利用されます。 手は小さくて自由度が高いため、デジタルモデル作成のためには数多くの寸法が必要になりますが、これを測るのはかなりの時間がかかり、計測者にも被計測者にも負担です。 ペーパーシートスキャナを使って手のひらの画像をとり、そこから寸法を抽出できれば、拘束時間は非常に短くなります。

計測システム

計測システムは、ペーパーシートスキャナとパソコンからなります。 ペーパーシートスキャナは低価格のものでかまいませんが、方眼紙をスキャンするなどして正しく寸法が測れるか、縦横比が歪んでいないかを確認しておく必要があります。

システム開発にあたっては、熟練計測者がデジタルノギスを使って計測した寸法と同等の値が得られることを目標にしました。 同等であることの評価はISO 20685:2005, 3-D scanning methodologies for internationally compatible anthropometric databasesに従いました。

ISO 20685による評価は、以下のような方法で行います:

  1. ある寸法について、40名以上の人について計測システムと熟練計測者が寸法を計測する
  2. 誤差 = (システムで取得した値-熟練計測者が取得した値)の95%信頼区間を求める
  3. 誤差の95%信頼区間の下限と上限が、±1mmの範囲に入っていれば、同等とみなす
図1. 計測システム
図1. 計測システム

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測ることができない寸法の推定

スキャナで取得できるのは手のひらの画像なので、厚みや周長を計測することはできません。 厚みと周長は、熟練計測者1名が計測した女性約120名、男性約250名のデータに基づいて、幅から推定しています。 もとになるデータは日本人成人のデータなので、それ以外の集団(外国の集団や子どもなど)については、厚みや周長の精度が悪くなるでしょう。

図2のとおり、男性と女性で回帰式が違う場合があります。 つまり、幅が同じでも男性の方が厚みや周長が大きい傾向があります。 このため、推定式は男女別につくられています。

図2. 回帰直線の性差
図2. 回帰直線の性差。手幅が同じでも、男性の方が手囲が大きい。

推定には通常回帰式を使いますが、図3に見るとおり、回帰式には大きい方では過小評価をし、小さい方では過大評価をする傾向があります。 相関が低いほど、この傾向ははっきりします。 このシステムでは、不偏長軸を使って推定をしています。

幅と周長の相関はかなり高いですが(0.83?0.94)、幅と厚みの相関はあまり高くありません。 とくに手幅と手厚の相関は低いので(男性で0.46、女性で0.42)、推定していません。 指の幅と厚みの相関は0.60~0.80です。

図3. 回帰直線と不偏長軸
図3. 回帰直線と不偏長軸

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計測項目

長さ23、幅9の22項目を計測し、厚み9、周長5の14項目を推定します。

図4. 計測項目
図4. 計測項目

精度評価%

ISO 20685の方法で評価した結果、大部分の寸法で誤差の95%信頼区間が±1mmの範囲におさまりました。 手首幅は、手首をガラス面に密着するのが難しいため、うまく計測できませんでした。

図5. 精度評価の結果の例
図5. 精度評価の結果の例

入手

計測部分のソフトウェアライブラリは、産総研ベンチャーである(有)デジタルヒューマンテクノロジー社から販売予定です。 販売開始は2009年3月を予定しています。

文献

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