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研究内容

ユニバーサルデザインマウス<Just One>の共同開発

産業技術総合研究所デジタルヒューマン研究センター(DHRC)は、コクヨS&T(株)と共同で、手のサイズバリエーションに対応し、使いやすさの評価構造を考慮した新型マウスを開発いたしました。 2006年11月より<Just One>というブランドで販売されています。

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研究の背景

マウスを使うとき、手首の辺りを机につけ、そこを支点としてマウスを操るユーザが多く見られます。 このようなユーザをターゲットとして、ユーザの多様なマウスの握り方、操り方、ユーザの手の大きさを許容するようなユニバーサルデザインマウスの開発を目指しました。

マウスの使いやすさの評価構造

マウスの使いやすさを、人はどこで判断しているのでしょうか。 これを調べるために、DHRCでは心理学的インタビュー法のひとつである「評価グリッド法」を用いました。 評価グリッド法は最終的な評価行動が、いかなる内的要因で決まったのかを言葉によって被験者に表現させることで評価構造を探り出す方法論です。 手のサイズの異なる被験者6名についてこの手法を適用した結果、最終的にユーザが感じる利益(ユーザベネフィット)として

という項目があがり、これに直結する心理要因として

などがあがりました。さらに、それに関連する身体要因として、

などの項目がリストアップされました。

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フィット感の感じ方の個人差

そこで、手の姿勢、接触面積、接触部位について個人差を調べたところ、接触して欲しい部位(緑色)と、逆に接触すると好ましくない部位(赤色)は図のようになりました。

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手の寸法・形状の個人差

手の接触には手の寸法が大きく関係してきます。 そこで、DHRCが所有する手の寸法データベースを分析してS/M/Lの3つのユーザグループを決定しました。 それぞれのグループに所属する被験者について、マウスを握った姿勢での手のひら内側の3次元形状を計測し、そこからマウス設計に利用する主要寸法を取得しました。

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設計ガイドラインの提示とスタイルデザイン

ターゲットユーザの評価構造、フィット感の個人差、人体寸法・形状特性をベースにDHRCにて設計ガイドラインをまとめ、コクヨS&Tに提案しました。 同社はこれに基づいて、新しいマウス<Just One>を設計しました。

エルゴノミックデザインというと、どうしても、手のひらで粘土を握ったような曲線的なかたちを思い浮かべますが、同製品はあえてそう言う形をしておりません。 粘土を握ったような形は、握り方を強制するもので、「いろいろな握り方や操り方、手のサイズのバリエーションを許容する」というコンセプトに合致しないと考えたからです。 そこで、フィットして欲しい場所が接触し、そうでない場所は触れないように形状を設計し、さらに、手のサイズに合わせるためにサイズ変更パーツを用意しました。 表面の感触も重要な要素であり、また見た目の高級感も重要な要素であることから、これらを考慮した表面処理を施しました。 これが、新しいユニバーサルデザインマウス<Just One>です。

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研究開発資料

詳細については、下記のPDF書類を御覧下さい。

ユニバーサルデザインマウス<Just One>研究開発資料について 【PDF:5.6MB】

参考文献

  1. 本村陽一, 金出武雄: ヒトの認知・評価構造の定量化モデリングと確率推論, 電子情報通信学会技術報告, NC2004-119, pp.25-30 (2005)
  2. M. Kouchi, N. Miyata and M. Mochimaru: An Analysis of Hand Measurements for Obtaining Representative Japanese Hand Models, SAE Digital Human Modeling for Design and Engineering Symposium 2005, 2005-01-2734 (2005)

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