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研究内容

低プライバシー侵害性の高齢者行動観察システムを用いたエビデンスベースド介護支援

概要

日常生活空間内での低プライバシー侵害性の行動観察技術として,超音波による人とモノの位置計測システムの開発を行っている. 人とモノの位置から,日常の人の行動ADL(Activities of Daily Living)を観察し,観察データから行動モデルを作成し,それをもとにEvidence-Basedな日常生活支援を行うことでQOL(Quality Of Life)の向上可能なシステムの構築を目指している. 現在,その一例として,福祉環境下における老人介護支援システムについての研究を行っている.

超音波観察システム

超音波観察システムは,環境内に超音波センサが埋め込まれており(図1,図2参照),それらのセンサを用いることにより,1)レーダ方式による人の頭部位置計測機能,2)タグ方式によるモノの位置計測機能,を実現した. また,計測装置として超音波を用いることにより,対象からは位置計測のための距離情報,もしくは距離情報をもとに導出可能な3次元位置情報しか取得しないように設計されており,3)センサレベルでの低プライバシ侵害性の計測機能を有するといえる.

図1: Ultrasonic Sensor System
図2: System Configuration

超音波タグ機能

タグ(図3参照)と呼ばれる小型超音波発信器(65×44×20,2週間バッテリー用)から発射した超音波を,環境(壁や天井部)に埋め込んだ超音波受信器群で受信することにより,タグの3次元位置を計測する機能. 平均誤差30mm,分解能5mm.

図3: Ultrasonic Tag

超音波レーダ機能

天井部に超音波発信器群と超音波受信器群を埋め込み,超音波発信器から発信された超音波が対象物(人の頭部)で反射し,それを超音波受信器群で受信することで,その対象物の3次元位置計測を行う機能(図4参照). 平均誤差54mm,分解能145mmである.

図4: Tracking Position of Human Head

計測結果

レーダ機能による人の位置測定と,タグ機能によるモノの位置計測を同時に行った結果を図5に示す. タグは車椅子に装着し,その位置計測を行った. 図中赤部がレーダ機能による人の位置及び軌跡で,白部がタグ機能によるモノ(車椅子)の位置及び軌跡である.

図5: Experiment by Ultrasonic Sensor System

老人ホームにおける応用例 ~行動パターン認識に基づいた,Evidence-Baseな介護支援システムの提案~

本システムを東京・昭島市の老人ホームに設置し,46日間に渡り入居高齢者の行動計測を行った. 図6には老人ホームにおける計測空間の間取りが示してあり,図中の軌跡は被験者の車椅子の移動軌跡の一例である.

位置情報を基に行動計測を行い,行動解析を行った.その一例を図7に示す. 図中横軸は一日の時間(0時~23時)を示し,

赤色棒グラフ:
46日間にベッドエリアから出た回数
青色棒グラフ:
ベッドエリアから出て且つトイレに入った回数
折れ線グラフの数字
トイレに行く確率

を示す.

図より,6時台にベッドエリアから出た場合,トイレに行く確率は3割程度であるが,8時台に出た場合,トイレに行く確率は9割となっている. よって,この被験者の場合,6時台にベッドエリアから出るときよりも,8時台にベッドエリアから出た方が,トイレ介護(トイレへの誘導,便座⇔車椅子の移乗介護)が必要だといえる. この情報を基に,トイレ誘導時間のタイミングを介護士に知らせる,といった介護支援が期待できる.

図6: Tag Trajectory
図7: 24時間のトイレの回数,離床の回数,および離床時にトイレに行く条件確率

参考文献

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