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健康サービスのための歩行評価システム

近年の健康サービス産業では,中高年の脱メタボ対策や高齢者の転倒予防,果ては女性の美の追求に至るまで,ユーザーの多岐に渡る要求・要望に対するソリューションが期待されています. このようなユーザーの価値観のことを,私たちは『健幸価値』と名づけました. そして,その健幸価値を評価する方法として,人の歩く姿,歩行に着目しました.

図1 健康サービスにおけるユーザーの健幸価値と歩行の関係
図1 健康サービスにおけるユーザーの健幸価値と歩行の関係

歩行には,『正しい歩き方』というのはありません. しかしながら,『痩せる歩き方』や『転ばない歩き方』,そして『美しく見える歩き方』というのは定義できるでしょう. このような,様々な歩き方を評価するために,まずはいろいろな人の歩き方を計測してデータベースを作成し,その個人差がどこに表れるのかを調べました. 計測の際には,モーションキャプチャーシステムや床反力計を用いました.

図2 歩行計測と脚のモデル
図2 歩行計測と脚のモデル

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計測された被験者1名ごとのデータは,歩行1周期(踵が地面に着いてから同じ足の踵が再び地面に着くまで)の脚の各関節の角度や関節の駆動力(これを関節モーメントと言います)のパターンから,606個のパラメータ群として切り出されています. これを被験者19名について同様にデータを集め,主成分分析(PCA)を行いました. 主成分分析とは,たくさんのパラメータで構成される現象を,より少ないパラメータの合成関数で説明する手法で,歩行パターンに適用すると,歩行における個人差の影響が大きいところを数値化することができます.

その結果,人の歩き方は,(1)膝を大きく使うかどうか,(2)股関節を伸ばして体を前に送り出すかどうか,といったように,各関節ごとの使い方によって分類されることがわかりました. 例えば,膝を大きく使い,なおかつ股関節も大きく伸ばして歩いている人であれば,膝やお尻の筋肉を大きく使っているだろうから,膝やお尻の筋肉が大きいことが予想され,膝をあまり使わず,股関節も伸ばさないで歩く人に比べ,エネルギーを多く使って歩いていると言えます. つまりこういう歩き方は,『痩せる歩き方』と考えられます.

図3 歩行特徴マップ
図3 歩行特徴マップ

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もし,この歩行特徴マップを使ってユーザー個人の歩行の状態を表すことができれば,ユーザーが普段どのような歩き方をしているかが簡単に分かります. さらに,靴やトレーニング器具などを使った結果,歩き方にどのような影響が表れるのかも調べることができます. このように,普段あまり意識していない歩き方について,歩行特徴マップを使い『見える化』をすることで,ユーザーの健幸価値を評価することができるようになります.

DHRCでは,この歩行特徴マップとスポーツジムなどに置いてあるトレッドミルを組み合わせ,さらに,トレッドミルの下に力センサーを組み込むことで,トレッドミルの上を歩くだけでこの歩行特徴マップにユーザーの歩き方をマッピングすることができる装置を開発しました. これは,先ほどの歩行データベースの計測の際に,歩いているときに足にかかる力と歩行特徴マップの各軸との関係をあらかじめ調べておき,トレッドミルの力センサーによりユーザーの足への力のかかり具合から歩行特徴マップ上のユーザーの位置を推定したものです. この歩行評価システムを使うと,モーションキャプチャーのような大がかりな運動計測装置を使うことなく,ユーザーの歩く様子や特徴を推定し,『見える化』できるようになります.

図4 歩行評価システム
図4 歩行評価システム

ただし,現在の歩行評価システムでは,歩いている姿を横から見たときの,しかも脚の運びしか分かりません. そのため今後は,全身の3次元的な歩き方について対応させていく予定です.

お問い合わせ先

青木 慶 (Kei Aoki) [javascript protected email address]
持丸 正明 (Masaaki Mochimaru) [javascript protected email address]

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