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研究内容

Digital Patient

この研究プロジェクトは終了しました...

歯科や耳鼻科の治療・手術では、患者さんが緊張したり不安を感じたりする場面が多く見られます。 この理由の一つとして、手術操作によって生じる振動や音、さらには麻酔で抑えきれない痛みを知覚している事が挙げられます。

本研究では、実際の手術中の患者さんにご協力頂き、手術操作と患者さんの反応を計測し、それらの因果関係を解析した上で、モデル化する研究を行っています。

研究内容

(1)手術操作に対する患者反応再現モデル:
ポリープや粘膜の切除、骨壁の破壊や吸引などの手術操作に対する患者さんの反応(疼痛の発生や血圧変動などの生体反応)を再現するモデル。

(2)患者反応に対する医師(熟練医)の対処パターンモデル:
疼痛に対する予防措置(麻酔追加)のタイミングや疼痛発生後の対処(休憩時間長など)パターン・モデル。 術中に起こりうる患者さんの反応を再現することにより、患者状態を安静に保ちながら手術を進める技術習得システムを構築しています。

内視鏡下副鼻腔手術

Fig.1: 実際の手術の様子(左手に内視鏡、右手に鉗子類を持つ)
Fig.2: 術中の心拍数変化例:麻酔・休憩時間(灰色)と操作時間(白色)が繰り返されている。疼痛発生時には心拍数の大きな変化が見られる

成果

■ 手術進行および患者反応の計測:

内視鏡ビデオ、手術室内ビデオと生体モニタを用いて手術進行の計測を行っています。 手術進行データとして、操作種・部位・器具と操作量、医師-患者-看護師間の会話(疼痛の訴えや麻酔などの追加指示)を記録し、患者の心負担指標として、心拍数・血圧値・精神性発汗・呼吸運動を記録しています。

■ 解析結果:

現段階で患者さん6名分の計測データに基づいた解析を行いました。

まず疼痛が生じていない場合、ほぼ操作の種類に応じて患者反応が変化することが示されています(Fig.3)。 具体的には、鉗子類が鼻腔内に挿入され鉗除作業(Opening)が開始されると患者さんの身構え動作により呼吸運動が抑制(息こらえ状態)され、その影響と思われる心拍数の低下が生じます。 その後、吸引作業(Aspiration)とパッキング作業(Packing)へ移行するにつれ呼吸運動と心拍数が増加することが示されました。

一方、疼痛が生じた場合(Fig.4)、鉗除作業(Opening)中での心拍数の増加が示されています。 また部位別の疼痛発生頻度では、中鼻甲介内側(MT-IS)や上鼻甲介(SRT)周辺はともに手術器具を到達させるのが困難で圧迫感や痛みが生じやすく、上顎洞(MS)は構造的に歯神経近傍に位置するため疼痛発生頻度が高くなっています。 篩骨洞(ES)では特に底部の操作中に疼痛が生じる場合が見られました。

Fig.3: 患者反応パターン(安静時)
Fig.4: 患者反応パターン(疼痛発生時)
Fig.5: 部位別疼痛発生頻度

■ モデル化: 患者反応再現モデル

解析結果に基づいて、手術操作に対する患者反応再現モデル(Fig.6)を構築しました。 このモデルは確率モデルの一つであるベイジアンネットワークとベイジアンネットワーク構築支援ソフト: BayoNet(開発:産総研、販売:数理システム)を用いて構築しています。 また、前出の手術トレーニング用モデルと連携する患者シミュレータ(Fig.7)を試作しています。

Fig.6: 患者反応再現モデル
Fig.7: 患者シミュレータ試作

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