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靴の履き心地要因としての足部の触覚感度

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研究の概要

靴の履き心地を、靴を履かずに評価するシステムの開発も目標に、靴の履き心地の一要因と考えられる足の触覚感度を調べました.
18〜39歳の健康な日本人成人男女84名(男性53名, 女性31名)の足の触覚感度すなわち足の敏感さ計測し,ノンパラメトリック検定で解析しました.
調べたことは以下の4点です。

  1. 足の敏感さは男性と女性で違うのか?
  2. 足の敏感さは部位によって違うのか?
  3. 敏感さの部位差に典型的な傾向があるのか?
  4. 同じ足内での足底部の敏感さは均一か?
触覚感度の測り方

足の敏感さをSemmes-Weinstain monofilament試験法を使って定量化しました。
この試験法は、直径と反力をある値に設定した一定長の細いナイロンフィラメントのついたテスターを使って触覚閾値を計測する方法です。

触覚計測中 フィラメントの先端で皮膚を押し、被験者が足を見ないで、フィラメントがどこに接触しているかを正しく認識した時のフィラメントの反力[log0.1mg]  を, その部位の触覚閾値としました。
足部17部位
足と靴との接触を配慮して設定した、足部17部位の触覚閾値をランダムに計測しました.(甲部 : d1〜4, 足底部 :p5〜12, 側面部 : s13〜17)
触覚感度に性差があるか?部位差があるか?

結果は次のようになりました.

触覚感度
  • 触覚感度には性差がみられませんでした(Mann-WhirneyのU検定).
  • 触覚感度には部位差がありました(Friedmanの検定, p<0.01).
  • 敏感さの部位差には典型的な傾向がありました(Friedmanの順位情報)
  • 甲部<土踏まずと足の側面<足底部の順に鈍感で, 足底部の中では踵が最も鈍感でした.
  • 体重負荷の大きい部位は体重負荷の小さい部位より鈍感な傾向でした.

同じ足内での足底部の敏感さは均一か?

足裏の感度 土踏まずを除く足裏は足部の中では鈍感な部位ですが,個人差があります.
例えば踵部分が他の人より鈍い人では,足裏全体が他の人より鈍いか?ということを知るために足底3部位の触覚感度の関連を調べました(Speamanの順位相関係数).

  • 部位間の関連は弱く, 足底の鈍感さの傾向は均一でないことがわかりました.

まとめ
  • 個人の足底の敏感さ特性に靴底の素材や柔らかさを対応させることができれば, 個別に靴の履き心地を改善できると考えられます.
  • 接触感や柔らかさの違うインソールを踵部分用, 土踏まず用, 足部前方用などに分けて用意し組み合わせることで、比較的容易に足底の履き心地が 向上することが予想できます.

文献
  1. 土肥, 持丸, 河内 : 足部の触覚感度分布と皮膚の柔らかさ, 2002年度日本人間工学会関東支部第32回大会講演集, pp90-91, 2002
  2. 土肥, 持丸, 河内 : 足部の触覚感度分布と皮膚の柔らかさ, SICE SI 2002 講演論文集3, pp189-190, 2002
  3. M. Dohi, M. Mochimaru, M. Kouchi : The tactile sensitivity and the elasticity of the sole of the foot as factors of the shoe comfort, Proceeding of IEA2003, 2003
  4. M. Dohi, M. Mochimaru, M. Kouchi : Distribution of Tactile Sensitivity and Elasticity in Japanese Foot Sole, Kansei Engineering International, Vol.5 No.2 pp9-14 2004