AIST人体寸法データベース 1991-92
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はじめに

本データベースに登録されている人体寸法データは、日本人成人男女約500名を対象に、1991-1992年に工業技術院 製品科学研究所が行った計測調査の結果です。

目次

更新

2014.04.30:ウェブサイト表示をリニューアルいたしました。

1. 調査の概要

(1)計測目的

設計支援システムを構築するための基礎データを取得する

(2)計測時期

1991年7~8月 男性の計測
1992年7~8月 女性の計測

(3)被験者

青年層(18-29歳)男性217名、女性204名。生年:1961-1974。
高齢層(60歳以上)男性50名、女性50名。生年:1904-1932。

青年層の平均最大身長は男性172.19cm、女性159.54cm。これは、文部科学省による平成14(2002)年度体力・運動能力調査における20-24歳の男女の平均身長(男性172.15cm、女性158.71cmとほぼ同等である。)

(4)計測項目

  計測した項目数
項目グループ男性女性
A 頭部4444
B 立位高さ3131
C 上肢・下肢の長さ1818
D 立位幅径1819
E 立位矢状径、厚径1111
F 立位周長3333
G 立位体表長1012
H 皮下脂肪厚44
I 座位高さ1515
J 座位幅径・前後径1212
K 座位周長44
L 手の項目1919
M 足の項目3131
N 体重11
合計251254

(5)計測した側

左右ある項目は、右側を計測した。

(6)計測手順

各年度において項目を10ないし9の群に分け、計測者は担当項目をすべての被験者について計測した。これは、計測者間の計測誤差により、分散が過大評価されるのを避けるためである。

(7)データの編集

散布図を見てはずれ値をみつける方法で、異常データを削除した。

(8)報告書

調査報告書は、まず生命工学工業技術研究所報告として出版され、その後日本出版サービスから出版された。現在、どちらも絶版である。報告書の内容を現状に合わせて更新したものが、本データベースの「3. 解説」から閲覧可能である。


  1. 河内まき子・横山一也・山下樹里・横井孝志・小木元・吉岡松太郎・渥美浩章・堀田明裕(1994)設計のための人体寸法データ集。生命工学工業技術研究所報告、2巻1号。ISSN 0919-5351

  2. 生命工学工業技術研究所編(1996)設計のための人体寸法データ集。日本出版サービス。ISBN4-88922-093-3 C3040 P4635E

2. 計測した寸法項目について

寸法項目をリストから見る

計測項目の名称リストです。各項目は、その項目の定義の図解や統計量のページにリンクされています。項目別に統計量のページをダウンロードすることができます。

寸法項目を図から検索する

どのような項目があるかを、身体部位や高径、幅径などの項目カテゴリーから検索することができます。各項目は、その項目の定義の図解や統計量のページにリンクされています。

3. 解説

この解説は、下記の出版物の内容を現状に合わせて更新したものです。下記出版物の内容は、どちらもほぼ同じです。リンク先はpdf文書です。

  1. 河内まき子・横山一也・山下樹里・横井孝志・小木元・吉岡松太郎・渥美浩章・堀田明裕(1994)設計のための人体寸法データ集。生命工学工業技術研究所報告、2巻1号。ISSN 0919-5351
  2. 生命工学工業技術研究所編(1996)設計のための人体寸法データ集。日本出版サービス。ISBN4-88922-093-3 C3040 P4635E

4.データと統計量の入手

データのダウンロードについて

データは、一旦発表されると信頼できるものとみなされ、データだけが一人歩きを始めるものです。一般に、人体寸法計測の報告では既存データとの比較をすることがないため、系統的な誤差の存在によるデータの信頼性に関する問題が表面化することはありません。しかし、本データベースについては既存データとの比較を行ったところ、既存の資料にも今回の資料にも、いくつかの項目について問題があることが明らかになりました。詳細については解説を参照のうえ、本データベースを利用する際には、計測誤差の存在を常に念頭において下さい。

また、計測項目は、資料によっては名前が同じでも定義が異なるもの、定義が同じでも名前が異なるものがあり、項目名称だけから定義を推定して他資料と比較すると、全く違うものを比較することになる場合があります。

以上の理由から、データのダウンロードに際しては、解説書、統計量、個別データを一括してダウンロードしていただくことにしました。データベース使用同意書に同意のうえ、アンケートの必要事項を入力していただくと、以下のデータをダウンロードすることができます。

手順

 今回公開する人体寸法データベースは、以下の手順でダウンロードすることができます。

  1. 最初に、下記のリンク先にある利用規定をお読み頂きます。
  2. 同意頂ける場合は、同意するをクリックしてください。アンケートのページに進みます。
  3. アンケートにお答え頂き、必要事項を記入して送信してください。
  4. 折り返し、デジタルヒューマン研究センターからメールにてダウンロードに必要なパスワードをお送りします。
  5. パスワードはメール受信から24時間有効です。有効期間内に、メールの指示に従ってデータをダウンロードしてください。

※日本語でのパスワード送信メールは、文字化けのため内容が読めないという事態が発生することがあったため、パスワード送信メールは英文といたします。いたずらメールと間違えないよう、ご注意下さい。



ダウンロードはこちら(データ利用規定を読む)

5. バウンダリーファミリー

(1)代表体形

 ある集団のある寸法、たとえば身長の分布の中心は、平均値や中央値で代表することができます。分布の端を代表するには、5パーセンタイル値(その値より小さい人の割合が5%であるような値)や95パーセンタイル値(その値より小さい人の割合が95%であるような値)がよく使われます。

 それでは座高と座位殿・膝蓋距離と大腿厚など数10項目を同時に考えた時、分布の中心にいる人や分布の端にいる人は、どんな寸法を持っているでしょうか。まず、分布の中心にいる人を考えて見ましょう。すべての寸法項目がそれぞれの寸法の平均値の組合せになる人は物理的には存在し得ます。しかし、すべての寸法がぴったりと平均値に合致する人が、実際に見つけられるかというと、それはかなり難しいでしょう(Daniels, 1952)。だから「平均の組合せを参考にしてものづくりをするのは誤りである」、というのはやや暴論です。なぜなら、人体寸法は連続的に分布しているからで、数10項目の寸法が多変量正規分布に近い分布をするならば、平均の付近にたくさんの人がいることには間違いないからです。平均値が有効な代表値のひとつであることは事実です。

 次に分布の端にいる人を考えてみましょう。分布の端にいる人たちは、どこかの寸法が平均値からかけ離れているような人で、そう言う人たちは互いにもかけ離れています。分布の端にいる人たちは集団の代表ではなく、集団の分布の仕方の代表といえましょう。たとえば、身長の平均値が分布の中心を代表し、平均値±1.96標準偏差が分布の仕方を代表するようなものです。分布の端にいる人を表すのによく使われるのは「95パーセンタイルの人」、「5パーセンタイルの人」です。しかし、すべての人体寸法項目が、それぞれの寸法の95パーセンタイルの組合せになるような人は存在し得ません。なぜなら、下肢の長さの95パーセンタイルと座高の95パーセンタイル、全頭高の95パーセンタイルを足し算すると、身長の95パーセンタイルより大きくなるからです(ISO 15536-1:2004, Annex Figure A-1)。こういう組合せは物理的に存在しないのです。物理的にあり得る組み合わせを統計的に計算するのが、バウンダリーファミリーの考え方です。

 せっかく、人体寸法データベースを手に入れたのであれば、平均だけを代表値として考えるのではなく、ばらつきも考慮していただきたいと思います。平均値付近ではない人はどういう体形か、ということを考えてものづくりをすると言うことです。平均値付近の人は互いに似通っているし、そこに多くの人がいるので、たとえば1つの製品で効率よくカバーできます。これに対して、平均値からかけ離れた人には「平均付近ではない」という共通点があるだけで、実際には互いにかけ離れて散らばっているので、彼等をカバーするような製品を作るのには知恵と工夫が要ることになります。この「平均付近ではない」かつ「互いにかけ離れた」人たちにも使える製品を作るという考えが、ユニバーサルデザインです。ここでは、人体寸法データベースから、この「平均付近ではない」人を代表する人体寸法の計算方法を紹介します。

(2)因子分析法によるバウンダリーファミリーの計算

 Bittner らによるバウンダリーファミリーは、因子分析法を使って、現実に存在しそうな、分布の端にいる体形が持つべき寸法を算出する手法です(Bittner et al., 1986)。ここで取得しようとしているのは、特定の人間の寸法ではなく、分布の上で特定の位置にいる仮想的な人間の寸法を、統計的に算出したものです。

 コンピュータマネキンの人体寸法生成を例にとって、具体的なやり方を紹介します(Kouchi et al., 2004)。コンピュータマネキンは、ある工業製品を利用する集団の体形の個人差の分布を考えとき、分布の端にいる人たちでも使いやすいように工業製品を設計するための支援ツールです。コンピュータマネキンの体形は、人体寸法を入力すると、それに応じて生成されます。例として使ったコンピュータマネキンでは、28個の寸法を使って、体形を生成しています。

 28個の寸法は互いに相関をもっているので、まず、これらがもつ情報を因子分析によって圧縮します。本データベースの日本人青年男性のデータを使い、相関行列を因子分析すると固有値が1以上の因子が6個抽出されました。因子を解釈しやすくするためにVarimax回転をした後の因子を、どの寸法との相関が高いかに基づいて解釈すると、第1因子は四肢の長さ(全分散の37%を説明)、第2因子は座位での座面からの高さ(15%)、第3因子は体幹部の幅や厚み(10%)、第4因子は手足の幅(8%)、第5因子は頭部のサイズ(7%)、第6因子(4%)は解釈不能でした。

 ここでは最初の2つの因子を考えます。まず2つの因子得点に基づいて分布図を書き、全被験者のうち95%がその中にはいるような確率楕円を考えます(図1)。この確率楕円上の仮想体形と分布の中心の仮想体形(図中の◆)がもつべき寸法を、これらの仮想体形がもつ因子得点と因子負荷量から計算します。因子得点と正規化した寸法((個々の寸法-平均値)÷標準偏差)と因子負荷量の間には、寸法=Σ(因子負荷量×因子得点)という関係がありますから、寸法は容易に計算できます。ただし、得られた寸法は正規化された値ですから、mm単位での寸法に換算するには標準偏差をかけて平均値を足すという作業が必要です。

図1. 因子得点に基づく散布図と、9体のバウンダリーファミリーの位置
図1. 因子得点に基づく散布図と、9体のバウンダリーファミリーの位置

(3)分析法について

 バウンダリーファミリーの計算に、因子分析法ではなく、主成分分析法を用いることもあります(Gordon et al., 1997)。主成分分析法は、互いに相関のあるたくさんの変数がもつ情報を、互いに無相関な少数の変数に圧縮する方法です。実際の計算は因子分析と似ていますが、主成分分析と因子分析は、考え方が根本的に違います。主成分分析法は単に情報を圧縮することを目的としています。因子分析法は、「項目間に相関があるのは、どの項目も共通の因子をもっているためだ」と考え、この因子を推定します。Varimax回転など、軸の回転をして解釈をしやすくしようとするのもこのためです。

 分析を分散共分散行列から始めるか、相関行列から始めるか、という問題もあります。分散共分散行列から始めるということは、寸法の絶対的な個人差を重視する、ということです。分散が大きな胸囲や胴囲などが重視され、分散が小さい手足や頭部の寸法は軽視されます。相関行列から始めるということは、すべての寸法を平均値0、分散1になるように正規化することですから、もともとの寸法の分散の大小にかかわらず、どの寸法のばらつきにも同じ様に重視する、ということになります。

 上記の例は全身のコンピュータマネキンの生成のためのバウンダリーファミリーでした。固有値1以上の因子のうち最初の2つしか使わなかったので、太り具合や手足、頭部のサイズの個人差は、無視することになります。バウンダリーファミリーを実際の設計に利用する場合は、その設計にとって重要な寸法項目だけを利用する必要があります。設計にあまり重要でない項目をまぜて分析すると、そのあまり重要でない項目の分散が大きい場合は、設計にとって重要な項目が無視されてしまう、ということもおこりかねません。

 2つの因子で説明できないならば、因子を3つ、4つと増やせばよいではないか、と思うかもしれません。因子が2つの場合、ファミリーの数は9体でした。各軸上のメンバーがそれぞれ2体、2つの軸の組合せで、軸と軸の間のメンバーが4体、それに分布の中心が1体です(2×2+2C2×4+1)。因子が3つになると、メンバーの数は3×2+3C2×4+1で19体になります。因子がn個になればn×2+nC2×4+1体となり、急速にふえていきます。設計案が、対象集団の変異を適切にカバーしているかどうかの判断も難しくなります。その工業製品の設計にとってどんな人体寸法が重要かという知識が、設計に利用するためのバウンダリーファミリーの設計にとって非常に重要となります。

 なお、被験者集団が明らかに均一でない場合、たとえば男性と女性が含まれるような場合は、分析に使う全項目について正規性を調べ、正規分布しているとみなせるならばひとつの集団として扱う、という考え方もあります。そもそも男女で体形は違うのだから、男女別に計算すべきだという考え方もあります。全体として正規分布していない場合は、別々に確率楕円を計算し、別々に代表体形を求めるべきでしょう。製品設計のための代表体形生成にとっては、とくに重要なポイントです。

(4)計算方法

 バウンダリーファミリーの寸法は、因子分析ができる統計ソフトがあれば、エクセルで計算することができます。必要なデータは、(1) 計算すべき寸法のオリジナルデータ、(2) これらの各寸法の平均値と標準偏差です。ただし、各寸法は正規分布しているものとして計算しますので、明らかに正規分布しない場合は、適切な変換をした方がよいでしょう。サンプル数は多いにこしたことはありません。少ないと、個人差の範囲を過小評価したり、項目間の相関が現実とはかけ離れたりする可能性が高くなります。

 第一因子と第二因子を用いたバウンダリーファミリーの寸法計算手順は以下のとおりです。

  1. 計算に用いる年齢群と性別を決める。
  2. 計算に用いる人体寸法項目を決める。注意:項目数が非常に多い場合、あるいは項目が頭部、全身、手足など多岐にわたる場合は、これらの項目が持っている情報を2つの因子だけでは十分に説明することができません。
  3. 選択した寸法を使って因子分析をする(相関行列から開始、Varimax回転を選定)。Varimax回転後の因子負荷量をみて各因子の意味を解釈します。また、各因子が全分散の何%を説明しているかを見ます。因子1と因子2の得点を使って、図1に示したような、被験者の散布図を書く事ができます。
  4. 確率楕円を決定する。 しばしば使われるのは95%です。
    楕円の式は、x2/SD12+y2/SD22=c2 です。ただし、xは因子1の得点、SD1は因子1の得点の標準偏差、yは因子2の得点、SD2は因子2の得点の標準偏差です。被験者のn%がその中に含まれる楕円では、c2=-2×ln(1-n/100)で計算できます。95%確率楕円の場合、c=-2×ln (1-0.95)となります(単位は標準偏差)。
  5. 9つの仮想体形(図1の1~9)の座標値を計算する。 相関行列を因子分析する場合、すべての変数は平均値0、標準偏差1に規準化されており、得られた因子もすべて平均値0、標準偏差1です。したがって、#1と#5の座標値(因子1と因子2の得点)は(±ln(1-0.95), 0)、#3と#7の座標値は(0, ±ln(1-0.95))となります。#2, #4, #6, #8の座標値は、上記楕円の式とy=xの交点の座標値として求められます。#9の座標値は(0, 0)です。注:Excelでは関数ln()が自然対数を返します。
  6. 因子得点から寸法を計算する。 因子分析では、寸法=Σ(因子負荷量×因子得点)として計算をしています。したがって、9体のバウンダリーファミリーが持つべき寸法は、その項目の[第一因子の因子負荷量×因子1の得点]+第二因子の因子負荷量×因子2の得点]で計算できます。因子1の得点、因子2の得点とは、(5)で計算した座標値です。 注意:第三以下の因子によって説明される部分は、誤差として処理されます(無視される)。したがって、第一、第二因子で説明しきれない寸法は、平均値からあまり変化しない、という現象がおきます。
  7. 寸法をmm単位に換算する。 (6)で得られた寸法は標準偏差単位で表現されています。これに標準偏差をかけて平均値を足すことにより、もとの単位に換算することができます。
 上記の方法は、相関行列を因子分析法で分析し、Varimax回転する場合の計算方法です。Varimax回転しない場合、分散共分散行列から計算する場合も、同じ考え方で計算することができます。主成分分析を使う場合は、因子分析法とは考え方が逆ですが、n個の変数を分析して2個の主成分を使うという点では上記と同様の考え方です。ただし、主成分得点=Σ(固有ベクトル×変数)ですから、上記の式で計算することはできません。

参考文献
  1. Bittner Jr. A.C., R. J. Wherry Jr., F.A.Glenn III, and R. M. Harris (1986) CADRE: A family of manikins for workstation design. Technical Report 2100.07B. Naval Air Development Center.

  2. Daniels G. S. (1952) The "average man"? Technical note WCRD 53-7. Wright Air Development Center, Air Research and Development Command, United States Air Force, Wright-Patterson Air Force Base, Ohio.

  3. Gordon, C., B. D. Corner, J. D. Brantley (1997) Defining extreme sizes and shapes for body armor and load-bearing systems design: multivariate analysis of U. S. Army torso dimensions. Technical Report Natick/TR-97/012. U. S. Army Soldier Systems Command, Natick Research, Development and Engineering Center.

  4. ISO 15536-1:2004 Ergonomics - Computer manikins and body templates - Part 1: General requirements.

  5. Kouchi, M., M. Mochimaru, and M. Higuchi (2004) A validation method for digital human anthropometry: towards the standardization of validation and verification. SAE 2004 Transactions Journal of Aerospace, 254-259. (SAE Technical Paper 2004-01-2191).

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